おなじクラスの素直シュールはよく変な事を言っている。
というか、こいつがまっとうな日本語を口にする処なんて、ついぞお目にかかった事がない。
それでも不思議とクラスに馴染む、それがシューという女だった。
lw´‐ _‐ノv「どっくんは魚に似ているのよ……」
その日、紅茶色に染まった教室で、何の因果かシューと二人きりになったときも、
例によってそいつはよく判らないことを言い出した。
('A`)「は? 何? 魚?」
lw´‐ _‐ノv「……熱帯魚」
せまい水槽のなかで一人きり、無愛想に泳ぐ漆黒の熱帯魚。
こうして四角いハコの中にいると特に似ているのよ、とシューはとろりとした目をして言う。
教室を水槽に例えるあたり、相変わらず理解不能な女だ。
lw´‐ _‐ノv「だからわたしはきみを見ているのがすきなのかもしれないのね」
('A`)「ふーん。……え? それ、愛の告白?」
lw´‐ _‐ノv「……」
冗談のつもりだったのに、シューは夕暮れの窓の方に顔を向けて黙ってしまう。
なんだよ。
('A`)「俺が魚ならお前はくらげだな」
沈黙が妙にむずがゆかったから、鼻息と共に適当にそんな事を言ったら
シューは一瞬意外そうに俺の顔を見て、
それからなぜか嬉しそうにふにゃりとたゆたう笑顔を見せた。