13 名前:シ*ノωノ)バ@10分[] 投稿日:2010/02/09(火) 23:56:39ID:dtPJFyzQ0
そのお屋敷にはたった一人のお嬢様と、世話係のアンドロイドが住んでいた。
o川*゚ー゚)o 「シラネーヨ! シラネーヨ!」
( ´ー`) 「なんでしょう、レディ・キュート」
o川*゚ー゚)o 「大至急、チョコレートのお菓子の材料を調達してきて頂戴!」
レディがこのような突拍子のないことを言い出すのは
さして珍しい事ではない。
とはいえ、料理などろくにした事のない彼女がいきなりそんなことを言うので、
シラネーヨはやや不審に思った。
( ´ー`) 「あなたお菓子なんか作れないでしょう」
o川*゚ー゚)o 「だからあなたが作るのよ。シラネーヨ、あなたは私の執事でしょう?」
( ´ー`) 「……既製品じゃダメですか」
o川*゚ー゚)o 「ダメです」
となれば、大至急、という要望にこたえられぬは執事の名折れである。
シラネーヨは大急ぎで広大な屋敷を飛び出し、
菓子の材料を――それも最高級のものを――かき集めて、大急ぎで調理に取り掛かった。
執事アンドロイドたるもの、これくらいの芸当は出来て当たり前だ。
o川*゚ー゚)o 「とびきり美味しいお菓子を作ってね」
レディ・キュートはそれをそばで見ながら、楽しげに注文をつける。
( ´ー`) 「なんでまた、急に手作りのお菓子など所望されるのですか、レディ・キュート」
シラネートが溶かしたチョコを手早くかき混ぜながら訊くと、
キュートは得意げに答えた。
o川*゚ー゚)o 「しらないの? 今日はバレンタインデーという日なのよ」
( ´ー`) 「バレンタイン?
ああ、あの、庶民の間の行事で、意中の相手にチョコをあげるとかいう……
しかしレディ、いつの間に殿方を見初められたので?」
o川*゚ー゚)o 「あら、シラネーヨ、これはあなたにあげるのよ」
( ´ー`) 「……。は?」
o川*゚ー゚)o 「この広い家でたった一人、いつも私のそばにいて、
お世話をしてくれているのはあなただけですもの。
だから、感謝のしるしにとびきり美味しいチョコをあげるの。感謝なさいね?」
そう言って、彼女はにっこりと微笑んだ。
( ´ー`) 「それは……光栄の至りではありますが……
ちょっとチョコとかそういうものは私食べられないのですが。機械なので」
o川*゚ー゚)o 「あら、そうだったわね。じゃあ仕方ないわ、代わりに私が食べてあげる」
( ´ー`) (結局自分が食いたかっただけじゃねーか)
それでも、シラネーヨは主人の心遣いをとても嬉しく思ったので、
彼は注文どおり腕を振るってたくさんのお菓子をこしらえ、
その日のレディ・キュートのお茶の時間には
とびきり美味しいチョコレートケーキがたっぷりとテーブルに並べられたのだった。